中国の文化・文明を理解するのに避けて通れないのが、陰陽や五行の考え方です。古代から人々が自然の中で培った、素朴な自然の見方から発生し発展した理論をまとめたのが、陰陽五行学説です。
陰陽五行学説は、「陰と陽」の陰陽、「木火土金水」(もくかどこんすい)の五行により、自然界のあらゆる現象や事物を解釈する理論です。
■陰陽
陰陽では、右記の太極図(たいきょくず)が自然界や宇宙のあらゆる現象や事物を示しています。 陰陽は、自然界の現象や事物がどういう性質・性格をもち、陽あるいは陰のどちらに属するか、その属性を表すものです。以下にその分類をいくつか表にしました。
自然界の陰陽
陽 | 天 | 上 | 太陽 | 昼 | 明 | 春夏 | 晴れ | 熱温 | 動 |
陰 | 地 | 下 | 月 | 夜 | 暗 | 秋冬 | 雨 | 寒涼 | 静 |
人体の陰陽
陽 | 男 | 上半身 | 体表 | 背 | 六腑 | 気 | 皮毛 | 機能 | 興奮 |
陰 | 女 | 下半身 | 体内 | 腹 | 五臓 | 血 | 筋骨 | 物質 | 抑制 |
陰陽の関係は?
[1]陰陽は相互に関わりあいます:
陰陽は対立と依存が一体となっているものです。男と女、昼と夜、機能と物質などお互いが無いと成立しません。対立しているようでお互いを必要とする関係です。
[2]陰陽は増減をくり返す:(量的な変化)
春夏は昼が長く夜は短く、秋冬は昼が短く夜が長い、一方が増えると一方が減少する。陰陽の関係はつねに変化しています。
[3]陰陽は転化する:(陽が陰へ、陰が陽への質的変化)
暑い夏が過ぎると涼しい秋が訪れるように、陽が極まれば陰に変化していきます。逆に、寒い冬を終えると温かい春が訪れます。これは陰が極まって陽に変化することです。
人間の体も自然界の一部であると考えていることから、からだの各部位や動きなども陰陽で分類されています。からだの陰陽が同じ大きさでバランスを保っていれば問題ありませんが、もし陰陽のバランスが崩れたら体調を崩して病気になります。