・・・正しい漢方薬の選び方
TVの健康番組などで、自分と同じ病気や症状に漢方薬の○○が良いと聞いて「私と同じ…飲んでみようかな…」本当にそれで良いのでしょうか?
今では漢方薬は、一般の病院でも処方されたり、量販店でも購入できるものもあります。しかし一部の漢方専門医・薬局を除いて、病名や症状だけで薬を選ぶことが多いようです。
漢方は病名だけでなく、1.症状・2.体質・3.季節に合わせて処方を選ぶというのが最大の特徴です。本物の漢方はこれらを十分に考慮して使用するので、効果的かつ安全な、あなただけの漢方を選ぶことができます。
漢方専門の薬局で相談する最大のメリットは、お客さまの体質と、その時々の病情や季節の変化に合ったお薬の内容や服用法だけでなく、養生法や食生活のアドバイスを受けられることにあります。これは対話時間の短い病院や量販店ではなかなか難しいことです。
季節はもう春です。春は動植物が活動を始めるように、人も代謝が活発化して心もウキウキと外へ向け発散しやすい季節です。この季節に発散作用を持つ辛いものやスパイシーなものをたくさん摂ると、体の気(エネルギー)を発散しすぎて肉体的には疲れやすくなり、精神状態は不安定になります。ですから、春はこのようなものを摂り過ぎないよう注意して、逆に酸味の食品を適度に摂り、心身を引き締めるようにしましょう。
連載は今回が最終回です。今後は、5月中旬に開設する当店ホームページで中国漢方のコラムをご覧下さい。お店でのここだけ話もどうぞ。1年間のご愛読、本当にありがとうございました。〈了〉
パンダの言い忘れ
当コラムで紹介してきた漢方のお話は、「中医学」(ちゅういがく)とよばれる中国伝統医学の考え方によるものです。中医学は日本の漢方のルーツですが、中医学と日本の漢方は考え方に若干の違いがあります。中医学は、病気を治すことだけでなく、病気の予防をしたり、健康で長生きするための養生法なども重視します。日本の漢方と区別するために、中医学を「中国漢方」ということもあります。