寒い冬に定番の鍋料理。食材に迷ったら、薬膳的に食材を見て選んではいかがでしょう。例えばエビとカニ。どちらも同じ甲殻類ですが、性質は正反対。エビは体を温め、カニは体を冷します。漢方相談の食事指導でこの話をすると、ほぼ100%の人が「えぇ~っ!?全然違うんですね!」と驚きます。
漢方や薬膳では、生薬や食物は全て、温める・冷やす程度によって、熱・温・平・涼・寒の5つに性質を分けています。温・熱性のものは、冷えをとり、血行をよくして、新陳代謝を促進します。寒・涼性のものは、余分な熱を冷まし、体を潤したり、鎮静したりします。平は温めもしない冷しもしないものです。
カニを食べるとお腹が痛くなったり、お通じが緩くなる人は熱エネルギー不足で体が冷えています。体を温めるエビ・鶏肉・羊肉・鮭がおススメです。逆にカニを食べるとのぼせがとれたり、体調が良くなる人は、潤い不足や余分な熱があり、体が熱に偏っています。エビを食べると体が温まり痒くなったりすることも。寒涼性のカニ・牡蠣・あさりなどがおススメです。
食養生は、こうした食材の寒熱性を利用して、偏った体質のバランスを整えるものです。エビとカニ、どっちが優れているのでなく、体質に合せて食べると良いでしょう。玄米食は体に良いと言われていますが、冷やす性質があるので冷え性の方は混ぜる程度にしましょう。また、肉類では、温める作用の強い順に、羊>鶏>牛>豚です。寒い北海道ではジンギスカンが、逆に暖かい沖縄では豚肉がよく食べられます。うまくバランスがとれていますね。
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お鍋に欠かせない野菜などの食材・薬味の寒熱もみてみましょう。
◆昆布・わかめなど海藻類・・・寒性。
◆お豆腐・大根(*1)・・・涼性。
(*1)大根は生では涼性ですが、 加熱すると平~温性になります。
◆しいたけ・春菊・白菜(*2)・・・平性。
(*2)白菜には熱を冷ましたり、体液を補う涼性的な作用があります。
エネルギー不足で体が冷える時は控えめに。
◆ネギ・ショウガ・ニラ・紫蘇・・・温性。
お鍋も大勢で食べるものですから、具材を増やして、それぞれ自分の寒熱に合わせたものを食べると良いでしょう。