悩み
3ヶ月前から耳鳴り。耳鼻科にかかってお薬を処方してもらっているが、なかなか良くならないと来店。1ヶ月前から耳鳴りが以前よりも気になるようになったので、少しでも良くなりたいと相談される。
■全身症状
手足が冷える・夜間尿・寝つきが悪い・眠りが浅い・頑固な肩こり、首も凝って痛い・胃腸が弱く少食・ゲップやガスがよく出るなど。
その他、婦人科で更年期障害の女性ホルモン補充療法を受けてホルモン剤を服用中。
お薬
①老化症状やホルモン系と深い関わりを持つ「腎」の働きを補い、精神・神経の興奮を抑えるお薬。「腎は耳に開竅(かいきょう)する」と言われ、耳と関係の深い臓腑です。
②血流を改善するお薬
以上2種類 1ヶ月分 約1万3千円
経過
服用から4~5日後に、首の痛みがとても楽になって体調が良い。耳鳴りも少し軽くなったような気がしますとお電話を頂きました。
2週間後、耳鳴りは軽くはなったが依然としてある。ただ、夕方~夜は大分よくなったので眠ることに支障はない。肩こりや首の痛みが無くなった。 夜トイレに行く回数も以前は3回くらいが1回になった。
1ヵ月後、耳鳴りはまだあるものの、だいぶ軽くなって気にならなくなった。 今後の症状の軽減と予防のために、同じ処方を継続。 それとともに、更年期症状の改善と予防のために、③女性ホルモンのバランスを整える「腎」の働きを強化し、自律神経に関わる「肝」の血液を増やして体を温めるお薬を追加する。
2ヵ月後、耳鳴りは残るものの、もうそれほど気にならない。耳鳴りでの①のお薬を休薬する。
現在は、更年期を軽やかに過ごすための「補腎薬」(ほじんやく)と血流を改善する薬の2種類で継続していただいています。
メモ帳
中医学では、「耳は、清らかな陽気が体内を上昇するときに通過する穴」と考えられていて、体内の陽気が十分に満ちている状態であれば、耳の働きも安定しやすくなります。
ところが、老化や疲労によって陽気が不足したり、ストレスで陽気の通りが悪くなったりすると耳の働きにも影響してさまざまなトラブルが現れます。耳鳴りや聴力減退といった耳のトラブルは、単に耳の問題だけでなく、疲労・老化・ストレスといったさまざまな体の不調を知らせるサインでもあります。
その原因を考えて根本的な体質を見直して健やかな耳の状態を保ちましょう。
1、ストレスによるタイプ(急性の初期症状)
キィーンと強い高音の耳鳴り、偏頭痛、不安感、怒りっぽい、突発性難聴など
■養生・・・ストレスを発散する役割の「肝」を静め、ストレスを発散させましょう。
■おススメ食材・・・菊花茶、セロリ、トマトなど
2、水分代謝や血行が悪いタイプ
耳鳴り、聴力減退、耳の閉塞感、回転性のめまい、肥満、むくみやすいなど
■養生・・・余分な水分を取り除き、血行も良くしましょう。
■おススメ食材・・・ねぎ、はすの葉、はと麦など
3、疲労・体力不足によるタイプ
疲れると耳鳴りや聴力減退が強くなる、立ちくらみ、倦怠感、食欲不振、軟便、顔色につやが無いなど
■養生・・・しっかり栄養を補えるように、胃腸の働きをよくする食材や体力をつける食材を多く摂りましょう。
■おススメ食材・・・大豆製品(豆腐・湯葉など)、いんげん豆、そら豆、お米など
4、老化に伴うタイプ
夜間の耳鳴り、聴力の減退、めまい、腰痛、物忘れ、慢性化(低音の耳鳴りが続くなど)
■養生・・・誰にでもおこる老化が原因、あまり気にせずリラックス。耳と関係の深い「腎」を養うことで、耳鳴りだけでなくさまざまな老化現象への対応ができます。
■おススメ食材・・・くるみ、松の実、クコの実、ごま、黒豆、山芋、豚マメなど