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漢方について

アトピー性皮膚炎 10年以上 女性20代

2010.01.20

悩み

 10年以上前からのアトピー性皮膚炎で悩んでいる。皮膚科に通院して5~6年経過。抗アレルギー剤・抗生物質の内服、ステロイドの外用薬を使ったが改善しない。ステロイドなど新薬からはなれて、漢方薬で治したいと来店。

鏡を見るパンダ 皮膚は乾燥し、顔が赤黒い、ひきつる感じもあり、痒い部分を引っ掻くとジュクジュクした液がでる時がある。顔・頭・首・背中・肘の表裏・足腰などほぼ全身に痒みを感じ、引っ掻いた傷痕が多く残る。痒みは、寝ている時や体が温かくなると悪くなる。そのほか、気温の変化が激しい時に皮膚が粉を吹いたり、ストレスにより症状が悪くなる。ハウスダストのアレルギーあり、子どもの頃から鼻炎でよく鼻づまりをおこす。

 全身症状では、足の冷え・偏頭痛・喉が渇く・軟便気味・ストレス多い・生理周期が早くなったり遅れたりする・痒みが気になり不眠気味などがある。

お薬

 まず皮膚の痒み・赤みなどの症状をやわらげる対症療法からはじめ、症状が落ち着いてきたら、皮膚・肌を丈夫にする体質改善へ切り替えます。

 ①対症療法:(初回来店時)
体の余分な熱や水分を取り除くもの・肺を潤して熱を冷ますもの・解毒作用・ストレスを発散させる作用のものなど、4~5種類を服用。 (1ヶ月分 18,000~22,000円)

 ②体質改善:(3ヶ月目~現在も服用中)
肺・胃腸・腎の働きを強くするもの・ビタミンとフラボノイド類を豊富に含む沙棘(サージ:グミ科の植物)の健康食品など、3~4種類を服用。(1ヶ月分16,000円~20,000円)

 その他、スキンケアとして保湿作用や炎症を抑える漢方生薬を成分としたクリームを外用として使う。(1本 3,150円)

 症状を誘発・悪化させる食生活・睡眠不足・ストレスを避けるようにアドバイスする。

経過

にこにこパンダ 最初の2~3ヶ月間は、漢方薬の服用と同時に、ステロイド外用薬をやめたこともあり、症状が良くなったり悪くなったりを繰りかえしたが、来店のたびに顔の赤みが減り、痒みも軽くなってきていた。顔の引きつり感もなくなる。体の肌が少しシットリしてきた感じがするが、顔や頭などは時に粉を吹いたりして乾燥感がまだある。生理周期は正常になってきた。この頃から症状をやわらげる薬を徐々に減らし、皮膚・肌に潤いと栄養を与える体質改善の薬を加えはじめた。

 4ヵ月後、皮膚・肌が全身的に潤ってシットリとしてきたのがはっきり自覚できる。見るからに肌にキメが整ってきており、顔の赤みもかなり減り、普通の顔色に近くなってきた。痒い部分もところどころとなる。痒みをやわらげる薬を時々使いながら、体質改善の薬を中心に服用を継続。

 7ヵ月後、顔から赤みは消えて正常に近い肌色になった。皮膚・肌は更にキメが細かくなって良い状態。「お陰様で以前とはまるで違う良い肌になりました。こんなに変わるなんて本当にビックリしています。」と喜んで話されました。痒みは時々背中に感じる程度。

 現在も体質改善の薬は継続していて、肌の状態も更に良くなっています。最近では「肌の調子が良いことも嬉しいですが、いつも寒い時期には鼻づまりなど鼻炎に悩まされるのに今年は全くでないんです。これも漢方のおかげですね。」と喜んでいただいています。

メモ帳

 アトピー性皮膚炎の治療では、痒みや赤みなど炎症などを起こしている時には、先ず症状を誘発・悪化させる原因を取り除くお薬を使いますが、症状が落ち着いたからといって治療が終るわけではありません。『肌は内臓の鏡』と言わるように、アトピーの根本原因には体質の問題があります。

 漢方では、皮膚・肌の状態には「肺」が密接に関わります。更に肺がしっかりと働くための栄養を食物から取り込むのが「胃腸」であり、アレルギーや免疫に関わるのが「腎」です。つまり、皮膚・肌を丈夫にするためには、肺・胃腸・腎などの内臓を強化する必要があります。

 このお客様の場合、体質改善で皮膚・肌の状態が良くなったとともに、鼻炎がなくなったのも鼻と関係する肺、そして胃腸・腎が強化されたためです。漢方は問題の症状の部分だけでなく体全体もみるので、全身的に体調が良くなってくることも嬉しいことです。

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