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漢方について

口内炎は、からだのオーバーヒート!

2007.10.03

 ヒリヒリと痛む口内炎、生活に大きな支障はないけれど、飲み物がしみたり食事の時も口の中が気になって美味しく食べることができません。中医学では、口内炎の基本的な原因は「熱」と考えます。適度な熱は人が活動するのにエネルギーとして必要です。しかし、過剰な熱は火のように体を燃やして傷つけてしまいます。

中医学で考える口内炎

 体に悪さをする熱の生じ方は2つです。車のオーバーヒートに例えてみましょう。1つは熱の過剰な生成によるものです。飲食の不摂生による熱、ストレスや怒りによる熱、カゼによる熱などがそうです。車でいうと、アクセルの踏みっぱなしで長時間運転したためにエンジンが焼けた状態です。

 2つ目は潤い不足による冷却力の低下です。老化、疲労、慢性病で体液が不足することによって現れる火照りやのぼせなどの熱がそうです。冷却水が少ないために、無理な運転はしていないのにエンジンが焼けてしまった状態です。治療には生活・食事などをチエックして、なぜ熱が出たのか探ることが重要です。

 また、口内炎と内臓のトラブルには密接な関係があります。口や唇は胃腸・心・肺の状態を現します。つまり、口内炎は熱によって胃腸・心・肺などが傷ついているサインです。

熱の過剰生成による口内炎

 このタイプの口内炎は、急性で赤く腫れて痛みも激しい場合が多く、熱を取り除く治療を施します。

1)飲食の不摂生

 甘いもの・脂っこいもの、辛いものの食べすぎ、お酒の飲みすぎは余分な熱を生み、胃腸を傷つけます。胸焼け・口臭・便秘・臭い下痢など伴うことが多く、治療には胃腸の熱を取り除く星火温胆湯・黄連解毒湯などを使います。

2)ストレス

 我慢や怒りは気分をウツウツとさせ熱を生みます。この熱が心に影響すると、不眠・イライラ・目の充血など伴うことが多く、ストレスによる熱を冷ます加味逍遙散・柴胡加竜骨牡蠣湯などを使います。

3)カゼ

 頭痛・発熱・ノドの痛みなどカゼ症状を伴います。カゼによる熱を冷ます天津感冒片・涼解楽などを使います。

潤い不足による口内炎

 このタイプの口内炎は、赤みや痛みは穏やかなものの、繰り返し発症し治りにくく、ほてり・のぼせ・ノドの渇き・めまい・耳鳴り・不眠・腰痛などの症状を多く伴います。治療には潤いを補うことにより熱を抑える瀉火補腎丸・天王補心丹などを使います。

 この他、赤みも痛みもないものの、治りにくく、繰り返す口内炎は、抵抗力がなく、皮膚・粘膜が弱い方に多く見られます。胃腸虚弱・疲れやすい・カゼをひきやすい・花粉症などの症状を伴う場合は、胃腸や粘膜を強化する補中益気丸・衛益顆粒などを使います。

 また、漢方薬以外で当店お勧めなのが、クマ笹エキス(商品名:ササヘルス 医薬品)です。どのタイプにも使え、傷ついた粘膜の修復と保護に働きます。ビタミン剤や軟膏など試してもなかなか治らない方は、内臓のトラブルかもしれません。先ずは生活や食事を見直し、体質改善に心掛けてください。

メモ帳

お薬の読み方

・星火温胆湯・・・せいかうんたんとう
・黄連解毒湯・・・おうれんげどくとう
・加味逍遙散・・・かみしょうようさん
・柴胡加竜骨牡蛎湯・・・さいこかりゅうこつぼれいとう
・天津感冒片・・・てんしんかんぼうへん
・涼解楽・・・りょうかいらく
・瀉火補腎丸・・・しゃかほじんがん
・天王補心丹・・・てんのうほしんたん
・補中益気丸・・・ほちゅうえっきがん
・衛益顆粒・・・えいえきかりゅう

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